
「飲食店が困ってる。何かできない?」の一言からスタート! タクシーを使ったデリバリーサービス「宅タク便」
2020年5月、「松山テイクアウト部」のFacebookのグループの中から、飲食店の食事をタクシーがデリバリーする「宅タク便」がスタートしました。このプロジェクトは、たてヨコ愛媛のメンバーの久保さんが、コロナ禍で苦境にある飲食店のためにできることはないかと考え「何かできない?」と同じたてヨコ愛媛のメンバーでビジネスデザイナーの山田さんに相談したところからスタートします。何気ないやりとりから始まった「松山テイクアウト部」ですが、わずか1ヶ月でFacebookのグループは7000人に膨れ上がり、「宅タク便」は、たくさんのメディアにも取り上げられ、一大プロジェクトとして広がっていきます。
何気ない会話から始まったタクシーのデリバリーサービス
コロナ禍で飲食店が疲弊する中スタートした「宅タク便」ですが、どうしてこのプロジェクトを始めようと思ったのですか?
久保さん:いつもお昼ご飯を食べている飲食店さんが、コロナウイルスでの影響でお客さんが減って困っているのを目の当たりにしていました。そんな中、松山市役所の方から九州の別府市では、SNSを使ってテイクアウトを応援する企画をやっていると聞いて、たてヨコ愛媛のメンバーでビジネスデザイナーの山田さんに相談してみたんです。「松山でも何かできませんかね~?」と。そうしたら、2~3時間後に、松山テイクアウト部の企画書が出てきました。その企画が楽しそうで、「天才ですね!」って返信したのが「宅タク便」のはじまりです。
山田さん:「『松山の経済応援し隊』的な何かできないですかね」って、久保さんからメッセージが来た時に、そのネーミングはダサいだろう(笑)と思って、でも、内容的には面白い!と直感的に思ったので、すぐに「松山テイクアウト部」の企画書を作成しました。でも、企画書といっても、きちんとしたものではなく、本当に部活動のルールを真似してノリで作ったゆるいものです。あと、私の場合、久保さんに頼ってもらったことも純粋に嬉しかったですし、ワクワクしましたね。
みんなが「何かしたい!」の気持ちで協力してくれていたら、いつの間にか広がっていた・・・
本当に部活動のような感じでみんなが活動していて楽しそうですね。
久保さん:正直、ここまで広がるとは思っていなかったです。私たちが参加しているたてヨコ愛媛という団体で共有すると、同じようなことを考えているメンバーもいて、まずはFacebookで「松山テイクアウトの部」のグループを立ち上げました。そうすると、別のメンバーがタクシーでデリバリーサービスができないかというアイデアを出してきて、「それいいね」ということになりました。
山田さん:すぐにタクシー会社さんに相談に行きました。タクシー業界も大変な状況でしたが、関係が深い飲食店の苦境にも心を痛められており、数社が「いいですね!」と二つ返事で仲間に加わってくれました。すごいスピード感でプロジェクトは進み、宅タク便だけで見ると1週間くらいでローンチしたと思いますよ。状況から楽しいと言ってしまうと不謹慎かもしれませんが、刺激的でしたね。
サイボウズのkintoneなどを使ってチーム内でタスクを共有。日々の連絡はFacebookのメッセージ、打ち合わせはZoomなどデジタルを駆使してプロジェクトを進めた。
テイクアウト部、本当に助かっていますよ
街の方や飲食店の方の反応はどうでしたか?
久保さん:いつもお昼を食べに行くお店から、「テイクアウト部ほんと助かっていますよ」や「宅タク便すごいね~」など、たくさんの声を掛けてもらいました。
また、利用者さんからは、「飲食店を応援したい気持ちがあるけど、外食に行って良いのかも分からない中、届けてくれて安心でした」というお声をいただきました。実は、タクシー会社さんからも、「初めましてのお客さんにお食事を届けることで、会社を知ってもらえました!」という感想もいただいたんです。
山田さん:実は、宅タク便は2ヶ月で終了しているんです。夏頃にコロナが落ち着いてきて、その後にデリバリー専業サービスが松山市内にも増えてきたので、あまり長くなることが社会的に果たして良いのかということもあり、2ヶ月が一つのメドだなと判断しました。そのとき、終了を惜しんでくれる方がすごく多くて。困っている飲食店やタクシー会社の役に立ちたいと思いスタートさせたプロジェクトでしたが、利用者の皆さんにも喜んでいただけたようでした。「育児中でなかなか外食できなかったから助かりました」というような当初想定していなかったような声もいただき、自分たちのしてきたことが役に立っていたんだなと改めて実感しました。
久保さん:たてヨコ愛媛に関しては、地域課題とか何かあればとりあえず相談してみる。その課題に興味がある人が集まって、みんなで考えて何かしら面白いことが始まる。たてヨコ愛媛ってそんな場所なのかなって今回のプロジェクトを通して思いました。
- 団体の概要
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たてヨコ愛媛
2020年に発足した、松山を中心とした企業・職種・職域を越えたビジネスパーソンが集まるコミュニティ。人や情報をたてに深くヨコも広く繋げる活動を行なっている。官公庁とも営利企業とも違う、これまでになかった新しい第3の場所、存在として地域の社会課題活動に取り組んでいる。メンバーは約300人(2021年2月現在)
- プロフィール
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山田敬宏(ヤマダタカヒロ)
1972年生まれ、愛媛県西予市出身。
株式会社リプルエフェクト ビジネスデザイナー/製品開発デザイナー。
3年前に関西から松山へ移住。たてヨコ愛媛の運営側として精力的に活動を行っている。
- プロフィール
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久保正明(クボマサアキ)
1968年生まれ、愛媛県喜多郡内子町出身。
サイボウズ株式会社ローカルブランディング部部長。
サイボウズの働き方改革や情報共有をベースに様々な地域課題の事例作りに取り組んでいる。様々な人から相談を持ちかけられる、ソフトな人柄が魅力。
- コミュニティ紹介
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たてヨコ愛媛
参加者募集中
団体
知人が友人となり、仲間になる。 愛媛発のシナジーコミュニティ 「たてヨコ愛媛」は、人や情報をたてに深くヨコに広くつなげる活動をしています。官公庁とも営利企業とも違う、これまでになかった新しい第3の場所、存在として地域の社会課題解決に取り組んでいます。
設立年
2020年
所属人数
39人
コミュニティ主担当
町田 祐一郎
活動エリア
愛媛県全域