まじめえひめ

会員登録の流れ・サービス利用規約

活動をはじめてみる!
(無料会員登録)

NEWS

エールラボえひめからのお知らせ

2021.8.17メルマガ

【エールラボえひめ通信 vol.3.1】県庁職員向けエールラボえひめ研修実況(後編)

こんにちは。エールラボえひめディレクターの金澤です。
前回に引き続き、県庁職員向けエールラボえひめ研修実況中継の後編をお送りします。

前回から、愛媛県庁と市役所・町役場でおこなったエールラボえひめの研修の誌上実況をしてきました。行政に求められることも時代によって変わっています。前半では、行政がやってきたことを色々な歴史的角度から眺めてみました。

エールラボえひめは、「自分たちの周りにある愛媛の課題を自分たちの力で解決するためのプラットフォーム」ですが、実はまったく新しいものではなく、愛媛の人たちが昔からやっていたことなのですね。これからの時代、官も民も関係なく地域をよくしたいと思う人達皆で力を合わせて施策を作っていくことが必要になります。

後編では行政の仕事でエールラボえひめはどんな使われ方を期待されているのかを見ていきましょう。

講義:エールラボえひめで地域づくりをしてみよう(後編)

1.政策形成での悩み

■一生懸命やってもうまくいかないのはなぜ?

行政の立場に立ってみると、一生懸命つくったのに施策が住民の皆さんになかなか支持されないという場面もあります。
これは、民間企業でも同じで、一生懸命作ったのに売れないという悩みがあります。
色々な理由があるのですが、大きく分けると2つに別れます。

1:顧客の課題・心情を正確に理解できていない
2:顧客の課題・心情は正確に掴んでいるのに、適切な解決策を作れていない

実は、エールラボえひめはこんな状況に効くのです。

■新規事業でアンケートは使わない。

多くの民間企業では、新規事業でアンケートを使うことはあまりありません。
というのも、まだ、馬が主要な交通手段だった頃に、自動車を一般に普及させたヘンリー・フォードは、このように言っていました。
「もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らは「もっと速い馬が欲しい」と答えていただろう。」

アップルのスティーブ・ジョブズもこの話を好んで使っていたようです。ガラケーからスマホに変わっていく過程にも同じようなことがありました。

アンケートが効くのは既存商品の改善です。お客さんがすでに商品を使って、どこが気に入って、どこに不満があるかが具体的にわかっているから、正確に満足度を答えることができるのです。

■では、どうやって新規事業を作るの?

顧客が欲しいと思っていないものは作っても売れません。だから、新規事業を作るときには、顧客の課題を深く知るところから始めるのです。
色々な仮説やときにはプロトタイプのモデルを作って、顧客に反応を聞いてみながら、何が課題になっているのか、どういう解決策なら使いたくなるのかをヒアリングすることが大切です。

もちろん、中には世の中が望んでいたものを技術の力やずば抜けたセンスで作り上げてしまうようなケースもあります。でも、社会の課題解決施策は、困っている当事者の意見を聞かないとなかなかうまくいかないことが多いです。
お客さんは、満足か不満かは答えられますが、不満なものを何をどう直したら満足に変わるかは、なかなか答えにくいです。この部分に、新規事業をする人たちの工夫が生きてくることになるのです。

■誰にとっても良さげなものは、誰にとってもつまらないものかもしれない

顧客(政策の対象者)の声を聞くところから始めようということですが、行政の施策は特定の誰かに向けてではなく、幅広い人に向けて作らないといけないですよね。少数の人の意見だけで作ったら偏ってしまうかもしれません。だからたくさんの人の意見を聞けるアンケートが重宝されるのかもしれません。
でも、多くの場合、色々な人の意見の最大公約数を叶えようとすると、逆にとてもつまらないものが出来てしまうこともあります。
例えば、男性にも女性にもお年寄りにも若者にも子どもにも着られる服みたいなものがあったとすると、きっとデザインは特徴なく、サイズもピチピチの人もブカブカの人もいるでしょう。
最大公約数を狙いすぎると、誰にとってもつまらなくなるのです。

■民間企業はどうしている?

では、民間企業はどうしているのでしょう。民間企業にも行政と同じく特定の人だけではなく、「みんな」に向けて商売をしている会社もあります。
答えは、1つのカテゴリーの商品でも様々なラインナップを作って、特性の違う顧客のそれぞれのニーズに応えるという方法です。例えば、国民食とも呼ばれるカレー。カレールーのシェア上位のメーカーは、十数種類のカレールーのブランドを作って、それぞれに甘口、中辛、辛口のラインナップを作ります。少しずつ違う個性を持った商品をたくさん用意することで、色々な属性の人達の期待に応えられるようになっています。

愛媛県には、「愛媛県民」という個人はいません。色々な考え方や立場の人がいて、その集まりが「愛媛県民」になるのです。だから、一つの施策だけですべての人を満足させるのは難しいので、色々な施策を組み合わせる。そして、それぞれの施策の精度を高めるためには、当事者の意見を取り入れることが大切なんです。

 

2.行政でのエールラボえひめの使い方

エールラボえひめと何の関係があるの?

長々と民間企業の話をしてきましたが、新しい課題を解決するチャレンジという意味では、ビジネスの新規事業も、行政の新規施策も近いところがあります。
対象となる当事者のニーズをしっかり聞くこと、そして様々な考え方や境遇の人にあわせた施策をきめ細やかに作ることです。
当事者の意見をしっかり聞くことは役所の中だけではできません。そして、きめ細やかにたくさんの施策をやろうとすると、今度は人手が足りなくなります。
困ったというときにエールラボえひめを使うとよいのです。
ここには、色々な考え方の色々な立場の方がいます。地域の課題を解決したい、新しい愛媛の価値を作りたいという想いを持っている人たちがたくさん集まっています。
行政だけで社会の課題を全て解決しようとする時代は終わって、地域の人と一緒に創る時代になってきています。

■これからの県庁にご期待ください

行政だけで難しいなと思うことがあれば、同じ想いを持っているエールラボえひめの会員の皆さんに話しかけてみましょう。地域を良くしたいと思っているのは、行政のみなさんだけではないはずです。
私達ディレクターやコミュニティマネジャーがサポートしていきますので、まずはご相談ください。愛媛を大切に思う同じ想いをもった人たちと一緒に地域の課題を解決していきましょう。

 

ということで、これから県庁各部署もオーナーになって、コミュニティやプロジェクトが立ち上がっていけるように私達ディレクターとコミュニティマネジャーも動いていこうと思っています。
立場を問わず、愛媛や地元を大切に思うみなさんと一緒に、新しい公共政策を楽しく作っていける機会を作っていきますので、今後のエールラボえひめにもご期待ください!